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駿府公園巽櫓
by sakamoto_tmc
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暖かな日差し。
「本日のパル」
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 イラク戦争で米英軍は多量の劣化ウラン弾を使用している。

 英国はイラン南部の都市バスラ周辺で1.9トンの劣化ウラン弾を使用したことを認めている。米軍は公表していないので不明だが、恐らくそれに勝る量の劣化ウラン弾を使用していることだろう。

 この劣化ウランは天然ウランから濃縮ウランを作る過程で産出する副産物で、毒性があり、微量の放射線を出す。

 劣化ウラン弾は硬く、貫通能力に優れるために、対戦車砲弾として使われるのが主目的であるが、建物のコンクリ-ト壁を貫通するので、要塞やビルを破壊して兵員を殺傷する目的でもよく使われているのである。

 炸裂した砲弾の破片が散乱して、付近は高いレベルの放射線が検出されている。
地下に残ると地下水を汚染して、甚だ危険なものなのである。

 この劣化ウラン弾は先の湾岸戦争でも使われたため、バスラ周辺では小児性白血病やリンパ腫に苦しむ子供たちが増えているという。

 今回のイラク戦争では湾岸戦争時の3倍を越える量が既に使われたという見方もあるので、今後も小児性白血病やリンパ腫といった悪性腫瘍の発生は急増してゆくことだろう。

 問題は米英軍が何の考慮も反省もなくこの劣化ウラン弾を使い続けてゆく事である。
原爆とは比べようもなく放射線汚染は小さいけれど、やはり汚染は起こっているのであり、そのため悪性腫瘍の発生が増加していることが認められているのである。

 アメリカは原子兵器の拡散防止にやっきになっている。世界中の人々も原爆の使用は許されるべきではないと皆おもっている。

 そんな原爆拡散防止の中心となっているアメリカが、なぜ貫通能力が優れているという利点だけで、同じように放射線汚染を引き起こす劣化ウラン弾を平気で使用するのか。破壊力は小さいと言えども、同種類の兵器と考えて使用禁止とすべきであると誰も立ち上がらないのか。

 対人地雷では今でも死傷者が後を絶たないと、禁止条約もできて、地雷除去が復興救援策として取り上げられて、被害国ベトナムなどでは作業が進んでいる。

 この劣化ウラン弾もイラン国内では破片の散乱だけでなく、被弾して破壊された、高い値のガンマー線が検出される戦車の残骸がいたるところに放置されているというし、使用された劣化ウラン弾の残骸もまた、建物の内、裏庭に数多く転がっているそうである。

 イランの復興支援策にはどうしても劣化ウラン弾の残骸除去が取り上げられるべきと考えられるのである。

 わが国は水雷や地雷除去支援をこれまでも行ってきた。政府のお偉いさん方の一考を切に期待している。

 しかしその前に劣化ウランの使用禁止を訴えて行くことが必要であろうか。

(2004.03.05)

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鷹匠クイズ「ここはどこ?」・・・この道はいつか来た道ぞ。
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# by sakamoto_tmc | 2008-12-10 14:20 | 全体
小春日和ぞ。
「本日のパル」
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                                                           冬冶さんのエッセイ・・・・・『コピ-食品』

 近頃はどこのスシ屋でも、カニ足やイクラがふんだんに乗ったにぎりやどんぶりを、割と安くたべることができる。

 そのスシに乗ったカニ足やイクラがコピー食品か否かは酒の席でよく議論になる。

 スシの上にふんだんに盛り付けてあるカニ足やイクラは、割高な本物であるはずはないという説と、味で勝負するスシ屋では本物を使って店の信用を保っているのだという説が互いに譲らない。

 カニ足もイクラもそのコピーはいまでは独立した地位を得ており、風味では本物に遜色ない品質にまで向上しているので、細かいことは考えず食べれば良いのだという中立説でなんとなく落ち着く。

 出始めた頃のカニ足はカニカマボコと言う名で、カマボコを細長くして束にし、見た目はカニの足に似せて、赤く着色もしてあった。

 1970年代の始め頃出始めたと思うが、カニ足が手がるに食べられると、本物と勘違いして食べた人も少なくなかったようであった。

 今のカニカマは繊維を斜めに繋げて、裂いた時は本物と間違うほど、それにカニエキスも加えられているので、そっくり感を持っている。

 カニカマは最初はコピー食品であったが、今ではそれ自身が独立した食品で、米国やフランスにも多く輸出されて、サラダやサンドイッチのネタとして利用されているという。

 イクラの方はこれまた見た目はそっくりであるが、カニカマのようなたんぱく質食品ではなく、海藻類から得られる多糖類のアルギン酸等を外衣に、内側の目玉はニンジンなどの赤い色素で着色したサラダ油などを使って作られているそうである。

 それにしてもうまく丸くそっくりにできるものだ。
従ってコピーのイクラはたんぱく質ではないので、熱い湯に入れると本物はたんぱく質が変化して白くなるのにたいし、コピーは変化しない。

 最初はコピーであっても、カニカマやイクラのようにそれ自身がコピーの域を脱していった食品は今後とも需要はなくならないであろう。

 コピー食品は最近は本物に似せて作るというだけでなく、ある目的、例えばカロリー制限、健康志向の観点から創出されている。

 コンニャク粉と澱粉からつくられたコメは、混ぜて炊くと本物そっくりで、抵抗感はないそうで、同様に即席めんやスパゲッテイなども開発されている。カロリーは20%ほど低減されるので、糖尿病食として病院ではすでに導入されているそうである。

 さらには三大珍味のカラスミもトリュフ、キャビアもコピーができているそうである。
これら高級品のコピーが広く出回って、手軽にぜいたくを楽しむことができるのだというのが、うたい文句だが、はたして高級品と思って食べることができるのだろうか。

 これは少々疑問である。

(2004.02.29)

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鷹匠クイズ「ここはどこ?」・・・何気なく見てるものもいざ思い出すとなると難しいものじゃて。
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# by sakamoto_tmc | 2008-12-03 13:59 | 全体
今日は氷雨ぞな。
「本日のパル」
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                                                                                                                           冬冶さんのエッセイ・・・・・『鳥 インフルエンザ』

 鳥インフルエンザが蔓延し、遂に日本でも79年ぶりに山口県に発生した。
周防灘を越えて大分県にも発生している。

 鳥インフルエンザが恐ろしいのは、養鶏の大量死亡や外食産業への悪影響以上に、人から人へと感染する新型インフルエンザの出現が懸念されるからである。

 今回の発生では、ベトナムなどでは、疑わしい例はあるが、いまのところ人から人への感染はまだ認められていない。

 これまでのインフルエンザは毎冬になると流行するが、ウィルスのタイプも予想されワクチン接種などの対策が確立しているので大流行の心配は少ない。

 過去に新型インフルエンザが世界的に大流行し、多くの死者を出した例として、1918年スペインカゼ(H1N1型)、57年アジアカゼ(H2N2)、68年香港カゼ(H3N1)が良く知られている。

 これらのウィルスはもともと鳥由来のA型ウイルスなのである。

 これらと型が異なるウィルスは長いこと出現しなかったが、97年になって香港でニワトリやアヒルに流行した毒性の強いH5N1型と呼ばれる新型ウィルスで18人感染し6人死亡した。2003年にも中国福建省で3人感染、2人死亡した例が報告された。

 そして韓国のニワトリに大流行し、ついに日本でも発生が認められたのである。
これらはいずれもH5N1型のウィルスによるものであるが、オランダではH7N7型、香港ではH9N2型の発生が認められている。

 インフルエンザウイルスは通常、型によってかぎられた動物にしか感染しないものである。ウイルスと、ウイルスが侵入する動物細胞の間に相性があるからで、相性がないと感染しない。

 渡り鳥などが常に持っているトリA型は弱毒性で、ヒトには感染しないとされてきた。ところが97年に強毒性に変異したウイルスがニワトリに大流行し接触した人に感染したのである。

 ニワトリやアヒルなど身近にいるトリに感染したウィルスが突然変異を起こしてヒトへの感染力を獲得することがある。

 またブタの細胞はトリ、人間の両方のウィルスに相性がよいので、両方に感染したブタではこの2種類のウィルスが遺伝子交換によって、新型のウィルスが生まれ、ヒトに感染し易いものが出来る恐れがあるのである。

 今回もブタにトリインフルエンザウィルスの感染が見つかったという報告はあるが、幸いに新型ウィルスの誕生には至っていないようである。

 ヒトは新型ウィルスには抵抗力を持ってないから、流行は瞬く間に広がり、毒性が強いので多数の死者を出すことが想定される。

 研究機関では新型インフルエンザのワクチン作成を急いでいる所だが、完成までには時間が必要だそうだから、それまで各人で自衛が肝要である。
 
(2004.02.26)

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鷹匠クイズ「ここはどこ?」・・・小春日和に誘われてそぞろ歩きするのも良いぞよ。
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# by sakamoto_tmc | 2008-11-27 10:26 | 全体
今朝の冷え込みはちときつかったのぉ。
「本日のパル」
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                                                                                                                           冬冶さんのエッセイ・・・・・『愉快寿命』

 静岡芸大の教授が、楽しく過ごせる人生の長さを表すものとして愉快寿命と言う概念を導入したらどうかと書いている。

 2003年のWHOの報告でも、平均寿命男性78.4歳、女性85.3歳と、両方とも日本人は世界一である。

 また病気や怪我のない健やかに過ごせる人生の長さを表す健康寿命も日本人は世界一である。

 日本人の平均寿命も健康寿命もこのまま進めばしばらくは世界一の座を維持してゆくだろうし、さらに延び続けるかもしれない。

 だから今後は楽しく過ごせる人生の長さを如何に延ばすかを心がけ、一度しかない人生を健康で楽しいものにしてゆくことが大切だと考えるのである。

 今はリストラばやり、消費も低迷し、老後の頼りとする年金もどうなることやら、甚だ心もとない状態である。楽しく過ごせる人生もこのままでは先行きは暗い。

 しかし愉快寿命は各人の心がけ次第で向上する部分が大きい。健康寿命より愉快寿命の方はより積極的である。

 そして実際日本人は厳しい環境の中で、如何に楽しく過ごすかを切に求めており、癒し系に商品や文化を問わず人気が集まっているのである。

 中国では高薪、高官、高寿、高興が庶民の間の人生訓としてはやっているそうである。

 高給を貰うのは高官になることに及ばず、高官になるには長生きをすることに及ばず、長生きをするのは楽しく過ごせることに及ばず ということのようである。

 我々は残された寿命も先行き短い。その短い中でいかに楽しく過ごすかをいつも前向きに、積極的に心がけてゆきたいものである。

(2004.02.25)

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鷹匠クイズ「ここはどこ?」・・・ストリートには街の歴史が刻み込まれている。のぉ。

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# by sakamoto_tmc | 2008-11-20 10:10 | 全体
寒くなってきましたな。
「本日のパル」
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                                                                                                                           冬冶さんのエッセイ・・・・・『うなぎ』

ウナギの稚魚、シラスウナギ漁は毎年12月初旬ごろに解禁されるようだ。
このころ河口で遡上直前に捕獲され、養殖業者に引き取られる。

 最近は浜名湖でハウス養殖が急速に普及して、冬期はハウス、夏期は露地池を併せた方法が最も多く採用されている。

 天然のシラス漁は年により変動するので、稚魚不足から、中国、台湾等、さらには遠くフランスなどのヨーロッパウナギのシラスまで輸入され養殖されている。

 面白いことに、ウナギは若いうちは雌雄同体で、環境によって雌雄が分化するそうである。またその嗅覚は陸上動物で一番のイヌの嗅覚に匹敵するほど鋭いといわれている。

 ウナギは海で産卵、孵化することは判っているが、天然の受精卵や生まれたばかりの幼生は発見されていないナゾの多い魚である。

 そこで、完全養殖を目指して1989年から水産庁養殖研究所で研究が開始された。

 人工孵化はすぐ成功したが、幼生は与えた餌を全く食べず、10年ほどはそれから先は成功しなかった。

 1996年になって餌の改良に成功して幼生に成長することが出来たが、1ヶ月も生きてはいなかった。

 99年になって孵化後250日、全長30mmまでの飼養に成功してやっと峠を越え、2001年にはシラスウナギになる直前の幼生まで成長させることに、世界で始めて成功したのである。

 まだ安定した養殖には課題が多いが、幼生の大量飼養が可能となり、シラスウナギにまで飼育することに近づいたので、成魚までの完全養殖はやがて可能になると思われる。

 ところでウナギは蒲焼で食べるのが当たり前になっているがその歴史は古い。昔は輪切りにして串焼きにしていたようで、江戸時代になると裂いて串焼きにしていたようである。

 ウナギの皮膚の粘液や血清には毒があり、誤って口に入ると灼熱感を覚え、皮膚の傷口に入ると炎症を起こすことがあるそうだ。だからウナギは生食には向かないのである。

 また体形が細長く身をくねらせて泳ぐから、脊椎骨の数も多く、それを動かす筋肉も強力に発達してコラーゲン繊維が多い。ウナギのコラーゲン含量は筋肉タンパクの10%前後もあり、他の魚に比べ圧倒的に多い。

 だからウナギの筋肉は硬いので、刺身では食べられない。そんなことで、ウナギの毒を消し、身を軟らかくする蒲焼はウナギの持ち味を十分に生かす、誠に合理的な料理法なのである。
 
(2004.02.23)

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鷹匠クイズ「ここはどこ?」・・・鷹匠も新しい建物が随分と増えてきました。でも通りは変わりません。
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# by sakamoto_tmc | 2008-11-13 10:00 | 全体